ネットでツキノワグマ専用なんていうスプレーを発見しました。

危険だと強く言われる理由、専用と言われる根拠や理由って何?と思ったのでまとめていきます。

結論から言えば根拠および実験結果なしのため使い分けはリスクを伴うということです。

専用と言っていても効果があったかどうか現時点(平成30年5月)では確認できていません。

現時点では本州の山を登る際にも当クラブでの採用予定はありません。

正しい使い方さえすれば問題ないんです。

勧告だの警告だのに惑わされず情報を精査しましょう!

北海道に住んでいるので

ツキノワグマはおらず対策すべきはヒグマだけなので偉そうに書くなと言われればそれまでです。

今、登山クラブで新しく熊よけスプレーを購入しようとなっているので新しいものはないかと探しています。

そこでポリスマグナムという商品の説明等を読んでいて気になるポイントがいくつかあったので1つ1つ突っ込みを入れていきます。

言うまでもないですが、

熊だって人を襲いたくて襲ってるんじゃありません。

むしろ人と出会いたくなくてひっそり隠れてやり過ごしたりしてくれる動物です。

登山でも山菜採りでも野生動物たちの生息域にお邪魔している気持ちは忘れてはいけません。

一般的な熊よけスプレーは強すぎて危険?

熊よけスプレーを対人で使用すればそれは危険どころではありませんし論外なのでのでここでは触れません。

対熊についてだけ見ていきます。

ヒグマに効果のあるスプレーをツキノワグマに使うことは対象動物に過剰な苦痛を与えることになってしまう。

そのためヒグマ以外には絶対に使用してはいけない。

と、ネットに書いてありました。(要約しています。)

過剰な苦痛・絶対に使ってはいけないというのはどういった理由からでしょうか?

それっぽく見える資料や海外での販売方法などが載っていますが、ざっくりまとめると、

獰猛で危険なヒグマに効果のあるスプレーを小柄なツキノワグマに使うのは虐待だ!

ということのようです。というかそもそもヒグマは獰猛じゃない(-“-;)

ドリトル先生みたいな人が話して確認したんですかね?

人を襲うという行為に出る熊でも大きい小さいで対応を変える必要があるんですかね?

ここで気になったのでさらに見ていきます。

対象の熊の体格や大きさで決めるのは違う

ヒグマは獰猛で危険だ!というのもそもそも違うのですが、ここでは触れずにいきますね。

じゃあツキノワグマは?

ヒグマより小柄だから獰猛じゃないし可愛い♪となるんでしょうか。なりません(・3・)

熊の大きさだけで言うなら以下のような疑問も浮かびます。

小柄な若いヒグマだったらどうするの?

成獣のヒグマは体長2m以上で体重は200kg以上にもなります(;゚Д゚)

ですが、対人事故を最も起こしている2歳3歳のヒグマはこれより当然小さいです。

  • 2・3歳のヒグマの体長は158~165cm前後、体重は90~120kg前後
  • 成獣のツキノワグマの体長は110cmから160cm、体重は40~130kg前後

こじつけるなよ(# ゚Д゚)って言われるかもしれませんが、

若いやんちゃなヒグマとツキノワグマの成獣の大きさに違いはほぼないんです。

もし熊の体格でスプレーの使い分けが必要なら北海道で登山するには

奥義!スプレー二刀流!

を習得せねばなりませんね。

実戦的ではない気がしますし、遭遇してびっくりしている状況で咄嗟に使い分けられるとは思えません。

ツキノワグマ対策を見てみる

北海道住みなのでツキノワグマの勉強も兼ねて、ツキノワグマと接する地域の対策を見てみます。

生息域は下図の通りです。

出典元:クマに注意!(環境省)

わかりやすく対処法などが書かれているページを勝手に紹介します。

あきた森づくり活動サポートセンター

「あきた森づくり活動サポートセンター」のツキノワグマの生態と人身被害防止が詳しくて非常にわかりやすいです。

生息域や季節ごとの習性・行動、食べ物など多くの写真とともに詳しく書かれています。出会った事例などもあります。

このページの半分より下で「積極的な被害防止対策」として爆竹・鈴・熊撃退スプレー・山刀が紹介されています。

その中の熊撃退スプレーは北米のグリズリー対策として開発された、と書いてあることと写真からカウンターアソールトだとわかります。

ツキノワグマには使ってはダメなどとはどこにも書いていません。

環境省自然環境局

環境省の「クマ類出没マニュアル」は長くて読むのが嫌になってきますが、77・78ページにクマ撃退スプレーについて書いてあります。

クマ撃退スプレー(唐辛子の成分であるカプサイシンを発射するスプレー)は、 クマ撃退用品として実績と効果が認められているものです

と書いてあります。

使い方や場所を間違えるなよって基本的な内容も合わせて書いてあります。

そこでもクマ撃退スプレー一例としてカウンターアソールトが登場しています。

ツキノワグマとヒグマ使い分け云々とはどこにもありませんし、環境保護に問題があるなら環境省が載せるわけはないですよね。

環境保護や生態系への影響はあるのか

ネット上では、

生態系の破壊や人に対して過剰な攻撃性を持つようになるなど生態系のバランスを狂わせる恐れがあります。

と書いてあるところもあります。

でもこの文だけで根拠も理由も研究内容などもどこにもありません。

生態系のバランスを崩す理由も書いていませんし、環境保護とイコールになりません。

熊よけ(ベアー)スプレーの対象外動物への使用は、自然環境保護や動物愛護の観点からも許されない禁止行為です。

という文言をネット上で見つけました。

このように書いてあれば「そうなのか」と思わずなりそうになるかもしれません。

が、そこは冷静にヽ( ´ー`)ノ

どうしてなのか理由が明確に書いてありますか?なんとなく押し切られてませんか?

それに、唐辛子が主成分のスプレーの噴射が環境に悪影響とか生態系のバランス云々とはどういうことなんでしょうか。

そもそも熊撃退スプレーが環境保護などに悪影響を及ぼすなら環境省が例として載せるわけないと思うんです。

動物虐待や愛護という観点から

今度はこちらの視点から。

一般の熊よけスプレーをツキノワグマに使用すると効果が強すぎて虐待になる…なるほどですね。

大きさで使い分けるのは違う!というところでも書きましたが、小柄な若いヒグマだったらどうするんでしょうか。

ヒグマはヒグマだから虐待にならないんですかね?だからそもそもヒグマは獰猛じゃない(-“-;)

実際に使用しているカウンターアソールトを例として話を進めていきます。

このスプレーは、

  • ホッキョクグマ
  • グリズリー・ベア
  • アメリカン・ブラックベア
  • ヒグマ
  • ツキノワグマ

などに効果があるとされています。(アウトバックホームページより)

ヒグマに効く強いスプレーをツキノワグマに使うなんて虐待だ!なんてなるなら、

全長3m体重700kgのホッキョクグマに効果のあるスプレーをヒグマに使うことも虐待になるんじゃないでしょうか?

こんなことを言い出したら、

熊それぞれに専用スプレーが必要

なんて異次元の話まで飛んでいけそうですね/(。△。*)ヤッホー

カウンターアソールトは「クマを殺さずに且つクマから人間を守る方法の研究」によって生まれたものですし、

アウトバックホームページには、

カウンターアソールトは熊に遭遇し、攻撃されそうになった場合に、自分を守るために使用する護身スプレーです。

もちろん、クマを殺したり疾病や傷害を与えることもありません。

とも書いてあります。

これを全面的に信じる信じないはそれぞれですが、熊の本場?のアメリカで専門家との研究によって生み出されたものということだけ頭の隅っこに入れておいてみてください。

勝手なイメージかもしれませんが、環境保護や動物愛護に関してはかなり厳しいというかシビアな国だと思います。

そんな国で許可され販売されているということは、この2点に関して問題はないということではないでしょうか。

使用実績がネット上で見つからない

ちらほら出てきました。

が、あえてこのまま残しておきます。

対熊ではなく対人を意識したスプレーであることは間違いないので。

実際に使用しているのでまたカウンターアソールトを例に出しますが、

カウンターアソールトは、アメリカのグリズリーベア研究チームが開発したものです。

6年間にわたる実際にクマを使った300回以上のテスト(そのうち77回は、実際にグリズリーベアが人を威嚇しているか、攻撃を仕掛けようとしたときにスプレーを発射し、すべて追い払いに成功している)で、その素晴しい効果が実証されています。

と書いてあり、現在でも日々改良が行われているようです。

日本でも「のぼりべつクマ牧場」「阿仁町熊牧場」で専門家がカウンターアソールトを使用した実験をしています。

ヒグマでもツキノワグマでも忌避効果が専門家によって確認されています。

ツキノワグマ専用というのはいいのですが、

十分な実験や研究などのない状況で専用スプレー以外は使用しないように!というのは非常に無責任に感じます。

仮に人を襲って殺してしまった熊が出ればすぐにハンターが出動して射殺します。

動物を大切にして守るというのなら、人と熊お互いの死亡事故を起こさないことも大切です。

現時点では、ヒグマでもツキノワグマでも身を守るためにどのスプレーを使っても何も問題はありません。

ヒグマもツキノワグマも基本的には臆病です。

ぐわっと来るのも人間と遭遇してびっくりして防御反応だったり子どもを守ろうとしていたり。

なので万が一、遭遇してもすぐにスプレーを噴射したりしないでください。

 

人間側が落ち着いて対処すれば熊だって襲ってこないはずです。

間違っても背を向けて走らないように!

足に自信があっても熊の方が断然早いですし、逃げる獲物を追う習性に火が付きます。

熊よけスプレーを使うのは本当に最後の最後の手段です。

OUTBACK 熊撃退スプレー カウンターアソールト・ストロンガー アルデ携帯ホルスターセット 熊よけ CA290&H

ポリスマグナム↓

熊撃退スプレー 中型 (全国の複数の国公立機関・地方自治体正式採用品/JSDPA認定品) B-609