多くの場合、トレッキングシューズの純正ソールは低山向けの比較的柔らかめの材質が使用されています。

柔らかい材質のソールが使われていても、

ソール交換をオーダーする時に純正以外のソールが装着可能なこともあります。

今回は高山向け上級モデルに使用されているソールはトレッキングシューズに装着可能なのか?ということでオーダーしてみました。

ソール交換。
靴の形状によって装着できるソールのタイプは3つある

登山靴のソールといえば、

ソール中央に黄色いロゴでお馴染みの「ビブラムソール」が有名です。

そのビブラムソールですが、思った以上に種類が豊富でした。

たくさん種類があるので、靴のタイプによって取り付けできるソールも違ってきます。

うちのクラブでお世話になった人もいる「ナカダ商会」さんのHPを参考に、靴の形状とソールの種類の関係をまとめてみました。

出し縫いタイプ

出し縫いタイプは、

  • ソールが2層(アウトソール、ミッドソール共にゴム製)
  • アッパーの全周に縫い糸がある

という特徴です。

革製の重登山靴に多いタイプですね。

このタイプに取り付けできるビブラムソールは、

ビブラム1149モンタニア(高山・初冬・残雪期向け)

登山靴のソール交換で上級モデルのソールを付ける

ビブラム1230サスモア(高山・初冬・残雪期向け)

登山靴のソール交換で上級モデルのソールを付ける

ビブラム1136ロッチャ(中級・低山・夏山向け)

登山靴のソール交換で上級モデルのソールを付ける

などがあります。

(全てのソール画像出典元:ナカダ商会HP靴のお悩み110番)

EVAタイプ

ソールが2層(アウトソールがゴム、ミッドソールがEVA素材)で出来ているタイプの靴です。

外観ですが、

  • 出し縫い糸はない
  • ソールがアウトソール・ミッドソールの2層に分かれている

のが特徴です。

このタイプに取り付けできるビブラムソールは、

ビブラム1219ムラツ(高山・初冬・残雪期向け)

登山靴のソール交換で上級モデルのソールを付ける

ビブラム1206ティサボ(中級・低山・夏山向け)

登山靴のソール交換で上級モデルのソールを付ける

などがあります。

(全てのソール画像出典元:ナカダ商会HP靴のお悩み110番)

カップタイプ

出典:ナカダ商会HP 靴のお悩み110番

カップ状のソールを、アッパーにはめ込むタイプの靴です。

外観ですが、

ソールが一体で、アウトソールとミッドソールの境目がわかりません。

出し縫いタイプやEVAタイプとは違っています。

このタイプに取り付けできるビブラムソールは、

ビブラム1450クルーサズ(高山・初冬・残雪期向け)

登山靴のソール交換で上級モデルのソールを付ける

ビブラム1370ローソン(中級・低山・夏山向け)

登山靴のソール交換で上級モデルのソールを付ける

ビブラム564Kスケルトン(中級・低山・夏山向け)

登山靴のソール交換で上級モデルのソールを付ける

ビブラム125Pウエアウルフ(中級・低山・夏山向け)

などがあります。

(全てのソール画像の出典先:ナカダ商会HP靴のお悩み110番)

ソール交換オーダー。上級モデルのソールは装着できるのか

目指せ!上級モデルソール!ということで、

ソール交換をオーダーしたのはこちら。私の相棒の登山靴です。

購入当時から付いている初期ソールはビブラムソールですが、品番は…わかりません。

初期ソールのゴムは、重登山靴のソールのように硬くなく、溝も深くないので低山向けのビブラムソールだと思います。

柔らかめのソールは減るのも早く、使用開始から2シーズン目に入り、ちょいちょい滑るようになってきました。

写真のとおり、まだ溝はあるんですけど角が丸まっちゃってるんですよね。

師匠ーーー!!!私のソールがぁーーー!!!

と言ってみたところ「少し早いがそろそろソール交換してもよい」とのお言葉が(´∀`)

最近、日高や大雪などの高山に登る機会がけっこう増えたので、

どうせなら純正ソールではなくワンランク上の高山向けのソールが付けたいなーと調べてみました。

そういえば…クラブに軽登山靴用ソールから重登山靴用ソールに張り替えた人がいたな…。

どこに頼んだのー?と聞くと「靴修理大好き工房ナカダ商会」さんにネットで頼んだとのことでした。

どんなタイプのソールが装着できるのか、あらかじめナカダ商会さんのHPを読んでみます。

私の相棒はソールが2層に分かれていて、

出し縫いタイプにもカップタイプにも見えないので、この靴はEVAタイプ?という予想です。

EVAタイプなら、

  • ビブラム1219ムラツ(高山・初冬・残雪期向け)
  • ビブラム1206ティサボ(中級・低山・夏山向け)

の2種類が装着可能なはず…。

この2択なら高山向けのムラツにしたいところです。

デジカメで靴の写真を撮り、ナカダ商会さんにフォームからメールを送ります。

メールで、本命の1219ムラツとダメもとで重登山靴用の1149モンタニアが装着可能か質問してみます。

回答は「1149モンタニアは不可。1219ムラツは装着可能」とのことでした。

やっぱりこの靴はEVAタイプだったようですね。

早速メールを返信し、ムラツをオーダーすることに。

これで高山向けのトレッキングシューズにグレードアップです。やったねヽ(´▽`)ノ

3週間後、納品。箱を開けると・・

修理代金は11000円(税別)でした。

代金が1万円を超えると往復の送料が無料になります。ソール交換ならだいたい1万は超える。

靴を清掃し、紐をインソールを外してちょうど良さそうな段ボールに靴と注文書を入れて発送します。

(発送は佐川の集荷サービスが利用できるので家で待っていれば来てくれます。)

そして3週間後、修理完了のメールが来た後、靴が到着しました。

わくわくしながら箱を開けると、キレイに仕上がった靴が白い紙に包まれて新品のように入っています。

が、

何か嫌な違和感があります。

ソールパターンがムラツとは明らかに違う………え?あれ?

ナカダ商会さんのHPで見てみると、

付いているソールはムラツじゃなくて「ビブラム1206ティサボ」っていう…。

登山靴のソール交換で間違って取り付けられたティサボ

でも納品書↓の修理内容は1219ムラツ…え?いやいや違うって。

登山靴のソール交換で間違って取り付けられたティサボ

EVAタイプにはムラツとティサボが付くことになっていますが、

「トレッキングシューズ=低山ハイク=ティサボ」

と、職人さんがオーダーをよく確認しなかった+勘違いしたまま作業に取りかかったものと勝手に推測しておきます。

登山者にとって靴は大事な相棒で命です。3週間待って修理間違いって…何もう…。

すぐにナカダ商会さんに電話したところ、

「あ”ぁぁぁ…。無償で再修理します。とりあえずその状態で履いていただいて都合の良い時に送ってください。」

とのことでした。(本当にあ”ぁぁぁって言ってました。)

山行に合わせての依頼だったので今すぐ再修理というわけにもいかず…。

夏山シーズンが終わるまでティサボで我慢することにしました。

ソール交換は多少ならずも靴へのダメージが出ると言われています。

無用に1回多くソール交換するハメになり、無料で再修理と言われても何か…何かこう微妙で複雑な気持ちです。

ただせっかくなので、気を取り直してティサボとムラツの履き比べでもしてみることにします。

無償で再修理。上級モデルのソールがついた

夏山シーズンも終わり、再修理に出すと普通の修理と同じくまた3週間後に靴が届きました。

おかえり。

登山靴のソール交換で取り付けてもらった上級モデルソールのムラツ

優先的に修理してもらえるのかと思ったりしましたが、特にそんな特別扱いはなく。

うーむ…って感じが若干ありますが、もう考えず文句も言わず無心になろう。

靴には新品のムラツがキレイに付いていますしね。

これで靴のぷちグレードアップ完了です。

 

実際の登山での履き心地は?

実際に履き比べてみての感想です。

ビブラム1206Tsavo(ティサボ)

ティサボはオールラウンド向けのソールで、

ゴムは柔らかめ、ソールパターンは土が詰まらないようにブロックが粗め(隙間多め)になっています。

ゴムが柔らかくて土が詰まりにくいと言えば、岩や泥に対しての高いグリップ力が期待できます。

近所の低山のほかトムラウシ・羊蹄山などで履いたのですが、

岩でのグリップ力は意外に平凡な感じで決してグリップ力が高いとは言えません。

ソール交換してトムラウシで試し履き

トムラウシ山で試し履きしました

 

効果を期待された泥道では確かにソールに泥は詰まりにくいのですが、

ソールのブロックが少ない分、エッジが効かず土や泥道でのグリップ力は十分とは言い難いものでした。

一般的に柔らかいソールはゴムの減りが早い傾向があります。

新品でこんな感じだったので、ソールが減ってきたら泥には刃が立たなくなると思います。

ティサボは「低山のみで山行日数が少ない人」に向いたソールだと思います。

 

ビブラム1219Mulaz(ムラツ)

ムラツは重登山靴に使用されるソールと同じ材質(ビブラムMont)で出来ており、ゴムは硬めです。

岩場のある高山や積雪期の登山などに向き、上級モデルに装着されるソールです。

ソールパターンは重登山靴に使用される、いわゆるタンクソールと呼ばれる伝統的なソールパターンに近いデザインで、つま先にクライミングゾーンと呼ばれる平たい部分があるのが特徴です。

クライミングゾーンは岩場での足がかりを容易にするために設けられたものです。

こちらはうっすらと雪が降った恵庭岳で試してみました。

登山靴のソール交換して雪の積もった恵庭岳で試し履き

初冬の恵庭岳で試し履きしました

 

全体的なフィーリングは足元からごつごつとした重量感が伝わってきます。

トレッキングシューズから一気に重登山靴になったような気分になります。気分だけ。

ちなみに、靴の重量はほとんど変わっていません。

岩場でのグリップ力はティサボより段違いに高く、十分満足のいくものでした。

泥や土の上においても、ティサボとは勝負にならない感じの高いグリップ力です。

ソールのグレードを上げるだけで、まったく別物の登山靴に生まれ変わりました。

そしてなんだかテンションまで上がる登山靴に進化しました。

上級ソールは高山も低山も安定のグリップ力

トレッキングシューズのソールを上級モデルのものに交換するだけで、登山靴のグレードアップができました。

高山向けのソールは高山でも低山でも色々な場面で安定したグリップ力を発揮してくれます。

ソール交換の際は、このようなカスタマイズをしてみるのも楽しいです。

今回利用した「靴修理大好き工房ナカダ商会」さん。

オーダー絡みのミスはありましたが、それ以外については返信なども早く内容もわかりやすく、

そしてとても丁寧な良い業者さんでした。ありがとうございました。