登山中のマダニ対策と感染症の基本まとめ

登山中のマダニ対策と感染症の基本まとめ 山の危険生物

登山中にマダニが付くこと、そして家までお持ち帰りしてしまうことは珍しくありません。

気づいたら服にいたり、ザックにいたり、帰宅後に発見することもあります。

そんな時に気になるのが「感染症ってどうなの?」という部分だと思います。

実際、マダニが媒介する感染症はいくつかあり、ニュースで取り上げられることも増えてきました。

今回は、国内で報告されている主な感染症と、登山中にできる対策をまとめてみました。

 

これ進むの?という動揺で手がぶれた。

 

マダニが媒介する主な感染症

マダニが媒介する感染症はいくつかありますが、

ここでは国内で報告されている代表的な4つを紹介します。

  • ダニ媒介性脳炎

  • ライム病

  • SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

  • 日本紅斑熱

以上の4つになります。
 

ダニ媒介性脳炎

日本では平成5年に北海道で1例報告されていますが、当時は死亡例はありませんでした。

ダニ媒介性脳炎にはいくつか種類がありますが、 特に ロシア春夏脳炎中部ヨーロッパ脳炎 が知られています。

また、ロシア春夏脳炎ウイルスが 道南地域の犬から検出 されており、北海道でもウイルスが存在していることが確認されています。

潜伏期間は 7〜14日で、症状は以下のように進行します。

  • 頭痛

  • 発熱

  • 悪心・嘔吐

  • 精神錯乱

  • 昏睡

  • 痙攣

  • 麻痺

致死率は 約30% とされています。

国内では長らく有効なワクチンがありませんでしたが、 2024年(令和6年)にワクチンが承認され、予防が可能になりました。

 

ライム病

国内では昭和61年に初めて確認され、現在までに数百人が感染しています。

年間の感染者数は 10数名程度 とされています。

発生地域は 本州中部以北 が中心で、 特に 北海道と長野県 で多い傾向があります。

主な症状は以下の通りです。

  • 咬まれた部位に赤い紅斑(円形に拡大)

  • 筋肉痛

  • 関節痛

  • 頭痛

  • 発熱

  • 悪寒

  • 倦怠感

病原体が全身に回ると、 皮膚・神経・眼・心臓・関節などに症状が出ることがあります。

慢性化すると重度の皮膚症状や関節炎が起こるとされていますが、 日本では慢性化した例は報告されていません。

国内で有効なワクチンはありません。

 

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

平成25年に国内で初めて確認され、 現在までに 200名以上が感染、そのうち 約48名が死亡 しています。

年間の感染者数は 70名前後で、致死率は 約24% と高めです。

発生地域は 西日本が中心 でしたが、 近年は 関東・東北・北海道 でも感染例が報告されています。

潜伏期間は 6日〜2週間で、 症状は以下の通りです。

  • 発熱

  • 嘔吐

  • 下痢

  • 出血症状(重症例)

現在のところ、有効なワクチンはありません。

 

日本紅斑熱

昭和59年に国内で初めて確認されました。 平成7年以降は年間 40名前後 の感染者が報告されています。

致死率は約1%で、患者は千葉県以西に多く、特に関西・四国・九州で多く報告されています。

症状は以下の通りです。

  • 頭痛

  • 発熱

  • 倦怠感

  • 発疹(2〜8日後に出現)

ワクチンはなく、 感染後は 早期の抗菌薬投与 が有効とされています。

 

国内の状況とリスク

今回話題になったダニ媒介性脳炎は、 数字で見る限り感染する確率は非常に低いと言えます。

地域別に見ると、

  • 北日本 → ライム病の方が可能性が高い

  • 西日本 → SFTS・日本紅斑熱の可能性が高い

という傾向があります。

ただし、どの感染症も 汚染地域が広がる可能性はゼロではないので今後の動向には注意が必要です。

北海道の登山に限って言えばですが、スズメバチ・エキノコックス・ヒグマなどの方が命に関わるリスクは高いとも言えます。

わさわさかき分け、突き進むしかない。

マダニに咬まれたら

時間が経ってがっちり噛まれている場合、無理に引っ張るとダニがちぎれて頭部だけ皮膚に残るので絶対に無理は禁物です。

頼まれて引っ張った経験がありますが、ちぎれます。いとも簡単に。

なので無理に引っ張るのだけは絶対にやめましょう。

自分で取る方法はいくつかあるので、気になる方は 「登山のダニ対策|自分でできるダニの取り方」を読んでみて下さい。

手で引っ張るのが気持ち悪い人には、ダニ取り専用器具があります。

専用器具でダニを挟んでくるくる回すと、皮膚からサックリ抜けます。

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楽天市場
Yahoo!ショッピング

※リンク先は主にペットショップになっていますが、ティックツイスターは人間にも問題なく使えるアイテムです。

そして言うまでもありませんが、感染症が不安な場合は 皮膚科を受診 してください。

自分でマダニを取った場合は、 捨てずに病院へ持参すると検査がスムーズ です。

 

ダニ対策

自分の経験上の話にはなりますが、ツルツル素材の福を着て勝手に滑り落ちてもらうのが一番手軽で効果があります。

蚊取り線香をモクモク焚いて歩いても、その蚊取り線香側のシャツの腕を歩いていたり。

虫に刺されたくない一心でスプレーした手首に嚙みついていたり。

スプレーなら汗で流れていたり、蚊取り線香なら風向きのせいもあると思いますが、最初に書いたとおり、勝手に滑り落ちてくれ作戦が一番有効だと思います。

 

 

ディートとイカリジン

余談ですが、ディートはアメリカ陸軍が ジャングル戦の経験から昭和21年に開発した成分です。

濃度が高いほど効果は強いですが、毒性も高くなります。

国内では長らく12%までしか製造できませんでしたが、 平成28年以降は 30%まで使用可能 になりました。

イカリジンもマダニに効果があるとされ、 新たに承認されています。

ディート・イカリジンはマダニに忌避効果があるとされていますが、 「笹やぶの大量マダニ」にどこまで効くかは今後の検証が必要です。

ディートは肌荒れやアレルギーの可能性があるため、 肌が弱い人や子供は注意してください。

まとめ

今日のまとめです。

マダニの感染症と聞くと不安になりますが、 種類と特徴を知っておくと「必要以上に怖がらなくていいんだな」と分かります。

まずは敵を知るところからですね。

地域によって発生状況は違いますし、 暑い日は「今日はダニいないでしょ」と油断しがちですが、 実際は真夏でも普通にいます。

(私も油断してダニ祭りになったことがあります……。)

咬まれてしまったら、直後ならそっと引っ張ると取れます。

それはそれはあっさりと。

時間が経っている場合はティックツイスターでくるくる。

ただ、感染症が心配なら皮膚科が一番安心です。

登山中のダニ対策は、やっぱり服装が大事です。

つるつる素材のヤッケやウインドブレーカーは本当に優秀で、「勝手に滑り落ちていく」のが一番楽で効果があります。

登山のダニ対策は登山のダニ対策|スプレーより服装が大事で書いたとおり、服装で対策することが一番効果があると思います。

知識があると、山の時間を安心して楽しめます。
用心しつつ、気持ちよく歩いていきましょう。

ガスの中でも、花はちゃんときれい。

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